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白河三兎 『田嶋春にはなりたくない』

田嶋春にはなりたくない
かなり変わった性格の女子大生・タージこと田嶋春を主人公とする、所謂「日常の謎」系ミステリ。
短編形式ですべて視点人物が異なり、主人公のタージではなく敢えて常識的な感覚を持つ他の人物たちを語り手とすることで、タージの特異性を際立ていたり、「できないことをやってのける」ことによる痛快さを狙っている。変人を視点人物にすることの難しさというのもあるかもしれない。
白河三兎と言えば、というぐらいにお馴染みな青春小説的な要素も強い。視点人物たちのどこかシニカルな目線も著者の作品によく見られる傾向で、過去作品のファンにも受け入れられ易いのではと感じる。