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早坂吝 『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)
メフィスト賞受賞第一作。
相変わらずの遠慮ない下ネタ。ただ、あっけらかんと何の妄執も躊躇いもなく性を描くあたりは、新本格世代や初期〜中期あたりのメフィスト賞作家らとは違うものを感じる。達観……というよりも居直りというか。
ああ、こういうのやりたかったんだなぁ、と思わせる終盤。解決編の文体が簡潔なのは、「雰囲気作り」として有効だと感じた。
この下品な芸風、今のところ全て「本格」に通じている。ただ他の芸風でアプローチしたとしても、ミステリファンを唸らせるものを描くだろう。そう感じさせる作品。受賞第一作として見事。