書は言を尽くさず、

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野崎まど 『know』

know (ハヤカワ文庫JA)
脳内に人造の“電子葉”の移植が義務化されている日本。「知る」という意味が異なる時代にて、驚異的な情報処理能力を持つ少女が「すべてを知る」ためのプロセスとは。
日本国内で一握りしか持てない情報権限を保有する極めて有能な主人公の姿が序盤に描かれるが、物語が展開するにつれ周囲のインフレ化により急速に置いてけぼりにされる。まるでジャンプマンガの初期ライバルのようで同情を禁じえない。ギリギリで物語内に踏み留まっていたが、そのキーとなる要素が「それ」か、というのは少しひっかかるものはあるが。
野崎まどらしい、着地が意識された作品。よいまとまりだった。