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麻耶雄嵩 『あぶない叔父さん』

あぶない叔父さん
小説新潮』掲載作品に書き下ろしを加えた連作短編集。
やたらめったら殺人事件に巻き込まれる「あぶない叔父さん」を、甥視点から描く。
舞台は閉塞的な田舎町。主人公は高校生で寺の次男坊。高校卒業後に町に留まるか外に出ていくか、今付き合っている彼女と元カノのどちらを選ぶか等、将来について思い悩む若者の姿が描かれる。麻耶雄嵩の得意分野の一つだろう。
名探偵「アブナー伯父」のもじりで書いてみたら、上記の設定も含めて気に入ったのだろうか、一冊の本にまとまった。ただ、個々の短編は綺麗にまとまっているものの、主人公や「叔父さん」の物語としては中途半端に見える。著者の近年の短編集『さよなら神様』『化石少女』などと比べてしまうと、特にその印象が強まる。惜しい、と今判断して良いのか。更に続編させる気なのだろうか。