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法条遥 『忘却のレーテ』

忘却のレーテ
忘却の川「レテ」より名付けられた、記憶を消去する薬「レーテ」。被験者たちは7日間、外部と接触できない閉鎖空間で人体実験を受ける。
作品にとって都合が良すぎる設定が多いが、リアリティよりも優先させたいものがあるということだろう。日本ホラー小説大賞出身だから誤解されがちだが、著者はメフィスト賞やいわゆる「新本格」の作家たちと似ている。そういう批判を気にしない面というか、マイペースさというか。
気になるのはリーダビリティ。『リビジョン』『バイロケーション スプリット』などの続編物に比べると丁寧に書いてはいるものの、もう少し文章が達者になり、地の文で読者を引き込んでくれれば、と思う。