書は言を尽くさず、

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島田荘司 『幻肢』

幻肢
映画化のために書き下ろされた作品。
事故や手術で手足を失っても、それが依然存在していると当人が確信するという「幻肢」。この現象を題材としたミステリ。
過剰な思い込みや妄想でエキセントリックに暴走する人物。本筋に対する布石であるはずが、バランスを崩すほどに肥大化するサブエピソード。いつの日からか、自分は島田荘司作品にそうした過剰さを求めてしまうようになってしまったのだが、本書では前者の要素はあるものの後者の特徴は欠けている。映画原作ということによる量的・時間的制約でもあったのだろうか。物足りなさを感じてしまった自分もそれなりにどうかしている。