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伊坂幸太郎 『マリアビートル』

マリアビートル (角川文庫)
グラスホッパー』の続編。登場人物も一部共通している。
東京発盛岡行の新幹線の中で繰り広げられる殺し屋たちの物語。
新幹線という一種の閉鎖空間に近い環境で、よくも見事に物語を転がす。ころころと変わる視点もマンネリ防止の効果があり飽きさせない。本当によく人が死ぬが、死を日常的とするような雰囲気と、言葉尻の軽妙さが必要以上に空気を重くしない。娯楽小説としては伊坂作品の中でもトップクラスに入ると思う。
また、終盤の物語の落としこみ方も鮮やかなものである。特にとある人物の末路に胸をスッとさせた読者も多いと思う。
もともとデビュー当時から大人びていた伊坂幸太郎だが、その更なる成長が見られるような作品かもしれない。