週刊少年ジャンプに連載していた漫画『めだかボックス』のスピンオフ「グッドルーザー球磨川」の小説版。
『めだかボックス』で主人公を色々な意味で食っていた登場人物・球磨川禊が主役ということで、面白くなかろうはずもない。完全なヒールの癖に一種のカリスマ性も持つ妙な登場人物ではあるが、これは西尾維新が得意とする詭弁だのハッタリだのがこの人物に程良くマッチしているためだと思う。
視点は須木奈佐木咲(『めだかボックス』本編にも登場する)に譲り、球磨川禊の特質性を強調しながら展開する(特に上巻は)。学校を舞台とした所謂ロールプレイングゲーム。安心院さんの暗躍。そして暗闘。
ただし読み応えとしては、プレリュードというか、番外編の域を出ないように感じる。時系列的には漫画読み切り番外編の「グッドルーザー球磨川」と本編『めだかボックス』の間に位置し、球磨川の何と言うか絶頂期には至らない時期であるため、まぁ仕方ないだろう。