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綾辻行人 『奇面館の殺人』

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)
館シリーズ第9作。
名前だけは10年以上も前から構想として聞いたことがあるまま一向に続報がなく(というか『暗黒館の殺人』が完結せず)、刊行されたと聞いてまたまたきつい冗談を、とまで思ってしまった。
お馴染みの建築家が手掛けた奇妙な仮面に溢れる館を、これまたお馴染みの探偵・鹿谷門実が訪れ、殺人事件に巻き込まれていく。
トリック・ロジック等の技巧的な部分はガチガチの新本格で流石というべきもの。しかし綾辻お得意の幻想的な部分は、『暗黒館』に比べればかなり抑えられている。ただ放っておくとその方面に寄っていくのではと思わせる箇所は多々あり、ここは作者が時を経た結果の産物なのだろうかと感じた。
あと、「やあ」だの「ふうん」だの「はあん」だの……個人的にはしっくりこない独特な会話文を見て、ふと懐かしさに襲われた。幾つになってもこいつには馴染まない。


そして今更『びっくり館の殺人』を読んでいないことに気付く。