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森見登美彦 『ペンギン・ハイウェイ』

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
第31回日本SF大賞受賞作。
郊外の町に突如現れたペンギン。これを皮切りとして、不思議な現象が次々と発生していく。
舞台は京都ではなく、自堕落な大学生や奔放な浪人生は登場しない。他作品とのリンクも(おそらく)見受けられない。視点は主人公の小学生によるもので、大人びているようで純粋かつ瑞々しい口語的な表現が面白い。
その語り口のためか、様々な新事実が発覚しつつも淡々とした雰囲気で進んでいくが、終盤の急展開には驚愕し、結末は強い喪失感を残す。
いつもの著者とは一味も二味も違う。しかし、どちらも素晴らしい森見登美彦