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福井晴敏 『月に繭 地には果実』

月に繭 地には果実〈上〉 (幻冬舎文庫) 月に繭 地には果実〈中〉 (幻冬舎文庫) 月に繭 地には果実〈下〉 (幻冬舎文庫)
∀ガンダム』の改題。
富野由悠季以外が描いたガンダム小説で恐らく最も有名。
どうなることかと考えたが、ガンダムの世界設定は、戦争と個人を描く福井晴敏の作風と大きな乖離はない。また、生臭さを感じさせる描写も、どこか富野御大の小説と印象を似通わせる。
ただ、固有名詞についてある程度配慮し読者に親切なのは富野御大と異なる点。黒歴史についてのファンサービスも僅かにあり。
中盤で中だるみしてはいるが、終盤に怒濤のように堕ちていく人々とその末路は見物。ガンダムを丁寧に描くとこうなるのだ。