書は言を尽くさず、

本読んだりしています

古川日出男 『ルート350』

8編収録の短編集。
古川日出男の小説は、時に読者を置いてきぼりにする。正確に言えば、読者は物語に付いて行くか諦めるかの選択を問われる。
決して描写は丁寧でない。部分部分は極めて丁寧とも言えるが、執拗という表現の方が近い。考え抜かれたフィーリングによるものとでも言うべきか。矛盾している。でもそのような矛盾の中から生まれたように見える物語。
「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」のように、図式がはっきりしていて尚且つ未来への可能性を感じさせる物語が好きだ。