書は言を尽くさず、

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歌野晶午 『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』

6編収録の連作短編集。
「著者のことば」にて語られているとおり、視点人物の歳三、その兄の理一、姪のひとみらキャラクターの軽妙なやりとりによって、いつしか物語の謎が解きほぐされていく展開である。
思えば歌野晶午は、まずミステリとしての成立を最たる目的とし、その実現のために必要なパーツとしての人物描写を行う傾向が強い。『葉桜の季節に君を想うということ』『世界の終わり、あるいは始まり』等の代表作を見れば明白である。
そんな中、キャラクター先行型の本作は、著者にとっての異色作の位置付けにあたるかもしれない。