書は言を尽くさず、

本読んだりしています

田口ランディ 『オカルト』

オカルト (新潮文庫)

十八歳の頃ならともかく、三十六歳の私がなんだってこんな神がかりなこと言われてそれを信じなくてはいけないんだよ、って。もっと現実的にいこうよ、もういい年なんだからって、そう言いたかった。私たち、大人でしょ。もうゲームはやめて、おじさんおばさんのおつきあいをしようよ。

と著者自ら作品で述べてはいるが、要は大の大人がオカルトだの霊感だのを「あるのかもしんないねぇ」というほのぼのとした調子で綴るエッセイ風短編小説。啓蒙思想もなければ気違い染みた様子もない。バーナム効果ってやつもあるなんじゃないかなぁと思いながらパラパラ捲ってたが、信じるもよし疑うもよしという感じで力を抜いて読める。