書は言を尽くさず、

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島田荘司 『エデンの命題』

エデンの命題 The Proposition of Eden (カッパノベルス)
2編収録の短編集。昨今、著者が御執心な「21世紀本格」の実現がコンセプトか。
 島田荘司が最先端科学によって新たな本格を創ろうとしているのは理解できるが、どうもそうして出来た作品は自分の肌には合わない。最早それは知識のひけらかしでしかなく、読んで多少賢くなった気はするものの、ミステリーにおける真相が明かされた際の驚愕やカタルシスとは結び付かないのではないか。まぁ、科学以外の要素でひねりを入れていたりもするのだが……。
 表題作は「旧約聖書の謎を最新の科学情報で読み解いた」(裏表紙より)とのことだが、何というか気違いじみた筆致と強引過ぎる展開でとんでもない作品に仕上がっている。同時収録「ヘルター・スケルター」は、それなりに好きで評価するものの。