書は言を尽くさず、

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恩田陸 『麦の海に沈む果実』

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
詩的に始まり詩的に終わる構造や、文章の丁寧さ・それに伴うリーダビリティの高さには頭が下がる。
ただ、ミステリとして重要な部分が結構投げやり気味に処理されている。また、放り投げた謎も結構多い。惜しい。巧く描写を工夫し、丁寧に処理すれば傑作に成り得たのに。非常に惜しいが、著者としては注力する箇所ではなかったのだろう。
「全寮制の学園モノ+少々ミステリ+少々ファンタジー」な物語として何も申し分ないことは確かなのだから。


しかし文庫版の笠井潔解説は酷いなぁ。何の解説してるんだよって。