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朱川湊人 『かたみ歌』

かたみ歌
『花まんま』と同じく昭和の下町を描いた郷愁溢れる短編集だが、異なる点はいくつかある。まず、1作1作のエピソードは『花まんま』以上に薄味で、どうしても物足りない感覚が残る。しかし、舞台が東京の「アカシヤ商店街」に固定されてた連作形式であり、エピソード間の関連もいくらか設けてある点は工夫されていると思う。まぁ、その関連性も僅かなもので、やはり物足りないわけだが。
直木賞受賞第1作としては失敗していないと思う。