書は言を尽くさず、

本読んだりしています

西尾維新 『きみとぼくの壊れた世界』

メフィストに掲載された体験版(もんだい編+たんてい編)に解答編を加えた「完全版」。
筋としては妹やクラスメイトや元登校拒否児とひっついたりくっつかなかったり……という話なのだが、哲学的物言いやミステリ談義は戯言シリーズのそれに比べ深遠かつ濃厚で、相当気合の入った作品であることが判る。
ミステリ部分はそう大掛かりでも複雑でもないものを演出過剰に仕立て上げている点で実に西尾らしい。ここは惜しい部分だと思う。
それにしてもエンディングはハッピーエンドなのか悲劇エンドなのか……。緩やかに心揺さぶる系の結末だった。
戯言シリーズとは違うベクトルの傑作。