書は言を尽くさず、

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野崎まど 『HELLO WORLD』

HELLO WORLD (集英社文庫)
アニメ映画が2019年秋公開予定。
主人公・堅書直実は読書が趣味の「イケてない」部類に入る男子。高校に入学してもなかなか交友が広がらず独りの時ばかり。だが、クラスの図書委員への任命、また、「10年後の自分」を名乗る謎の人物の登場により直実の「世界」は大きく変わり始める。
「イケてない」描写に極端さやジメジメ感はなく抑えた感じ。物語上のヒロインや脇の登場人物のディテールも描写過剰はなく、テンポが良い。終盤にかけては、怒涛の展開で駆け登る。最初から映画化に向けて最適化されている印象。もう少し遊びがあった方が野崎まどらしくて好きなのだが、これは映画を見てみて判断すべきかもしれない。出るとこと引っ込むとこの判断の的確さと実行してみせる器用さ。流石。