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北山猛邦 『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』

猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数 (講談社文庫)
シリーズ第1作。
大東亜帝国大学の探偵助手学部の指導教官であり探偵でもある猫柳十一弦と同大学の学生であり探偵助手でもある君橋と月々が、ゼミ合宿で訪れた孤島にて連続殺人事件に巻き込まれていく。
孤島というクローズドサークル、次々と起こる連続殺人、犯人の行動を封じるための集団行動、登場人物間の疑心暗鬼などなど古典的推理小説要素に溢れている。ちょっと変わっているのは「探偵助手学部」のゼミ合宿ということで登場人物全員が探偵か探偵助手、つまり事件対応の専門家であるために、何というか皆物分かりと手際が良く話が早い。
北山猛邦といえば物理トリックの北山・ファンタジー設定の北山あたりの2パターンの評が中心だが、本作ではどちらの要素も薄目(「探偵助手学部」はある意味ファンタジーだが)。ホワイダニットの、取り分け見立て殺人の真相が斬新で面白い。