書は言を尽くさず、

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伊坂幸太郎 『ガソリン生活』

ガソリン生活 (朝日文庫)
主人公は母・長男・長女・次男の何の変哲も無い母子家庭の何の変哲もない、車。マツダの緑デミオ。本書は一貫してデミオの視点で描かれ、車は人間相当の思考能力を持ち、人間の言葉も聞き取り理解でき、車同士であれば意思疎通も可能であるという設定。この設定、作劇への制約を受けつつも、あれこれ手法を凝らしたり張り巡らせたりするのは、書き手としては楽しかったのではと推察する。
勝手な想像だが、伊坂幸太郎ならばいくつかの手段でもう一捻りできたけど、しなかったような印象。デビューした頃とのスタンスの違いだろうか。