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伊坂幸太郎 『死神の浮力』

死神の浮力 (文春文庫)
『死神の精度』の続編。
主人公の千葉は死神。自然死以外で命を落とす予定の人間たちに生前会い、死を与えることについて「可」「不可」の判断を下すのが死神の仕事。
実を言うと、伊坂幸太郎作品を時系列に読み進めて行って、初めてこれは面白いなと感じたのが『死神の精度』。文体やキャラクター面での癖が、人外である「死神だから」という設定で説明がつくのが大きい。本作でも、その特徴というか設定は引き継ぐ。
被害者遺族が殺人犯を追うというストーリーで、エンターテインメント的な起伏に富む。前作から今作までの間に伊坂幸太郎の作風もそこそこ変わっており、変化後の作風を勝手に自分は「大きく描く」と表現するが、最新のスキルを活かして大きく描きつつも、前作の設定と雰囲気を崩さない。まぁ何とも巧いものだと思う。