書は言を尽くさず、

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名梁和泉 『マガイの子』

マガイの子
子ども攫い・取り替え子をミックスしたような田舎の山村の伝承「マガイ」から始まり、山村と東京の物語が並行。交差するポイントに大きな物語の山場を作るという、いかにもエンターテインメントな構成。伝承をベースにした古式ゆかしきホラーと思いきやそうではなく、不穏なNPO法人村八分児童虐待など様々な要素を取り入れてくる。ごった煮感は強い。なお、登場人物の多さにより取っ付き辛さを感じるのは、デビュー作『二階の王』よりは改善しているものの同様。多分に映画的・ビジュアル的であり、大きな物語を描こうとしているのは分かるが、小説としてはもう少しディテールの描写を求めたくなる。特にサブキャラの心理描写について。