書は言を尽くさず、

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森博嗣 『神様が殺してくれる』

神様が殺してくれる Dieu aime Lion (幻冬舎文庫)
美し過ぎる青年と連続殺人事件。そして、かつてパリの大学生であった頃、その青年とルームメイトであった「僕」。
森博嗣の作品で海外が舞台となるのは比較的珍しい。パリ、フランクフルト、台湾、東京など舞台は移り変わるが、まさか旅情のようなものを森博嗣に期待すべきではなく、成果も推して知るべしと言ったところか。
ただ、多国籍の登場人物が会する場で誰々はここは英語で話した・フランス語が通じただとか、得意としない言語下では無口になる登場人物の様だとか、彼我に時差がある環境下での会話では時間の表現に「今朝」「◯時」等ではなく「◯時間前」等を使う等々が面白い。こういうのがリアリティなのだろう。
そんな点もあって、幻想には振れず、現実に振れている方向の作品。最近の森博嗣はこちらの方が板に付いているように思う。