書は言を尽くさず、

本読んだりしています

舞城王太郎 『深夜百太郎 入口/出口』

深夜百太郎 入口
深夜百太郎 出口
Twitterで毎日発表された百物語を単行本化。1編ごとに著名な写真家・佐内正史の写真も挿入される。
舞台は舞城作品お馴染みの福井県西暁町と東京都調布市のいずれかに限定されるが、内容は人外幽霊キチガイなどバリエーション豊か。古今東西ありとあらゆるホラーの様式を集めたようなショートショート
スピード感のある文体、真理を語るような会話文、そして自己完結性。舞城の肝が抜き出されたような濃厚さを感じることができる。本来は毎日一編読むのがベストなスタイルだろう。一気読みすると、話や登場人物の類似が気になる。その短さゆえ個人名などの固有名詞がない作品が多いだけに尚更。
入口側と出口側で明確なコンセプト等の差はないように思うが、入口ではホラー世界に没入するまで時間がかかった。ベストは三十六太郎「横内さん」。次点は三十三太郎「夢の猿」と四十太郎「体育館でかくれんぼ」。ひたすらごちになるしかない。
出口側は、やや父母の視点が多いような印象。出口ベストは百太郎「ワタシシ」。次点は七十八太郎「執着コトメ」。