書は言を尽くさず、

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貫井徳郎 『私に似た人』

私に似た人
主に雇用不安により小規模なテロ「小口テロ」が頻発する政情不安定な近未来の日本を舞台に、老若男女様々な視点で物語が描かれる。
群像劇のように各々の人生を一応描きはするものの、どうもステレオタイプというか素朴な人物が多く、リアルな人の生臭みのようなものに欠ける。リアルさの拡がり・遊びに欠ける、仕草や癖等の表現不足という方が妥当か。ただ、この素朴な人物像は、反面リーダビリティの高さにも繋がっている。バランスを崩せば、貫井徳郎らしさを失うので難しいところ。
展開ももう一筋、何かあれば面白かった。プロット面でも味付け不足。惜しい。