書は言を尽くさず、

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雀野日名子 『終末の鳥人間』

終末の鳥人間
無軌道な高校生が部活動を通して成長していくというストーリーだが、タイトルにある「終末」「鳥人間」という要素がかなり個性的。
主人公が無理矢理入部させられた人力飛行機部での活動が中心に描かれていく一方で、日本という国は強気外交による情勢不安を招いており、ストーリーが進むにつれて不穏・剣呑は増していく。著者お得意である田舎の閉塞感の表現も相俟って、未来への不安感は募るばかり。中盤以降は怒涛の展開。まさかこんな話とは思わず、驚きながら読み進めた。想像以上のエンターテインメント。簡単に青春小説と表現してしまうことが憚られるように思う。
これのパラレルストーリーがあるのか?というのも驚き。