書は言を尽くさず、

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伊坂幸太郎 『PK』

PK (講談社文庫)
3編の中編集。
大森望の解説によると、最初の2編は「群像」掲載作品。そのため、著者は純文学系の雑誌に載ることを意識して書いたとのこと。意識したらその分非常に色濃く作品に反映されるタイプの作家なので、いつも通りを期待して読むと少し面食らう。(なお、意識した分が作品にあまり撥ねない作家も多い、と思う)
『魔王』『モダンタイムス』の系譜とも言える気がするが、個人的にはあまりフィットしない。
軽妙な会話を交わしながら時にギャングをやったり麻雀したりするのが昔ながらの伊坂作品で、10年くらい前はそうした作品を好きではなかったが、今となってはそれが馴染んできている。
人間の趣向というものは、一時では判断できないものであるね。