書は言を尽くさず、

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大山尚利 『ブラックラジオ』

ブラックラジオ (ハヤカワ文庫JA)
ハヤカワ文庫JA書き下ろし短編集。
本日の死者を予告する「ブランニューデス」、リスナーが生死を掛けてジョークを投稿する「ジョークナイトデスマッチ」、未知の病気の情報を発信する「デッドモーニングクリニック」等、不思議なラジオ番組が引き起こすエピソード集。
『紙の眼』の感想(http://d.hatena.ne.jp/chen/20140109/p1)と同じ印象だが、著者はあまり短編向きの作家ではない。ストーリーを終わらせるために転すだけで終わってしまっていて、物足りない。
なお、本書特有の要素「ブラック」については、コンセプトものの短編として一貫してそつなくこなしているけれど、著者の得意とする分野という訳でもない様に思う。ブラックさとはやや違う趣向の「ドリーム・フォー・レクイエム」が、旧作の雰囲気にも近く、著者が本領発揮できる分野かと思う。