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書は言を尽くさず、

本読んだりしています

貴志祐介 『ダークゾーン』

ダークゾーン 上 (祥伝社文庫) ダークゾーン 下 (祥伝社文庫)
異世界で行われる将棋を模したゲーム。主人公は「王将」として否応無くゲームに巻き込まれていく。
ゲームのパートと主人公の過去を描くパートが交互に描かれる。


このゲーム、将棋を下敷きにはしているが、所謂ゲームバランスの部分ではかなり大味で(作中でもセルフ指摘があるが)、面白みは緻密な論理と読みというよりは、勘と度胸で編み出すサプライズ展開にあると思う。小説向きなアレンジと言えるかもしれない。
ただ、一部のルールを将棋に近付け過ぎたがために、展開にメリハリが利かず間延びする部分がある。
そうしたルールを例示する。
ゲームの「駒」である登場人物は、敵に殺されると敵方の「駒」として復活する。これにより「駒」の死は何度でも許されるため、登場人物の死の重みがない。
また、ゲームの勝利条件は、名人戦等を模した七番勝負であり四勝したチームが勝ちとなる。つまり、チームの敗北は三度まで許されるため、前述の死の軽さも合わせて緊張感に欠ける。また、自ずと終盤の展開は読めてしまう。
展開が読めてしまうがゆえに、途中からはゲームの展開よりも、ここに至るまでの経緯を描いた過去パートの方に興味が行くようになる。ゲームパートが終演すると共に過去パートも終焉するが、このオチに関しては賛否両論あるだろうな、と思わせる真相。正直言うと肩透かし感も強い。


将棋というテーマに振り回されたのか、据わりの悪い部分が目立つ作品。貴志祐介にしては凡作という評価に落ち着いてしまう。