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書は言を尽くさず、

本読んだりしています

西尾維新 『りぽぐら!』

りぽぐら! (講談社ノベルス)
メフィスト」連載作品の単行本化。
最初に短編小説を制限なく執筆。五十音の46字から任意の6字を選択し、残った40字を10字ずつ4グループに分ける。その10字を使用しないで、元の短編小説をグループごと4パターン執筆。
要は、自ら制限を書けてのリライトである。
話だけ聞くと何だか面白そうに感じられるが、この小説を楽しめる読者はかなり限定されるように思う。


まず、最初の短編と4パターンの短編の、計5つ同じ話を読まされることになる。
短編の視点ががらりと変わるだとか、最初の短編では隠していた真実が明るみに出るとか、そういった「物語面での」工夫があれば楽しめる要素は増えるが、決してそういったことはなく、同じ視点での同じストーリーが、無意味な制限を加えられ読みづらくなった上で提供されるわけである。5パターン読み終える前に飽きることが容易に想像される。


また、リポグラムは西尾維新の言葉遊びの極致、という意見もあるかもしれないが、西尾維新の言葉遊びの魅力は、豊富な語彙によるものというよりは、語呂合わせと必要以上の饒舌によるものが多いため、使用できる文字に制限を加えてしまうと、自ら魅力を削りにかかったようなものである。


楽しめるポイントとしては、最初の短編での表現を、他のパターンの短編で「こんな風に言い換えるのか!」「この表現笑えるな」といった風に比べながら読める点か。ただ、小説をストーリー面で重視する層には受け付けないだろう。


こうした作品を書くのがしんどく、根気と時間がかかるものだという点は非常によくわかる。そのため、同業者やワナビにとって、「評価」されるような小説ではあると思う。まぁ、「よくこんなめんどくさいことやったね、えらいね」以上の賞賛も無いかもしれないが。


やはり、純粋に読んで楽しいかというと、疑問符ばかりが残る。
個人的には、3編の短編集というかショートショート集に著者の自己満足が付いてきた、という感想になってしまう。