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西尾維新 『悲惨伝』

悲惨伝 (講談社ノベルス)
〈伝説〉シリーズ第三作。
ストーリーとしては前作『悲痛伝』のそのまま地続きであり、四国を舞台とした脱出ゲームに巻き込まれていく主人公を描く。
前作『痛』から続く必要以上に情報を小出しにして物語を引っ張る様、512頁をいくつかに分割して第x話という形式でそれぞれに「引き」を作る点、そもそもの第一作『鳴』まででの完結性、その後に続く『痛』以降の蛇足感……これらから連想されるのは「終わるべき所で終われず引き伸ばされたジャンプの人気作品」である。
西尾維新の文体とキャラクタで面白く読ませはするが、正直言って冗長さは隠せない。
結局この巻でも四国ゲームは完結せず続巻するようだが、最後には『痛』『惨』の価値を感じさせるような展開を期待したい。