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書は言を尽くさず、

本読んだりしています

白河三兎 『もしもし、還る』

もしもし、還る。 (集英社文庫)
メフィスト賞作家の文庫書き下ろし長編。
目覚めたら砂漠にいた。宙より電話ボックスが降ってきた。119番が、繋がった。
という異様な状況から始まる。
デビュー作から既に「大人になりきれない若者」を描かせると一流で、苦み走った青春小説をいくつも仕上げてきた著者。本作もその例外ではなく、世間に100%適合しきれない若者が視点となる。
砂漠のシーンでは、この魅力的な謎に対して、取り得る手段を駆使しながら、何とか論理的な解決を進めていく。
一方で、痛みを伴いながら青春時代と幼少時代を過去を回想するシーンが挿入される。両者が絡み合いながら物語は展開する格好である。
青春小説とミステリの、この歪なバランスはまさにメフィスト賞直系の血統だろう。