2013-04-16 島田荘司 『進々堂世界一周 追憶のカシュガル』 book 4編収録。御手洗潔が登場する短編集。 京大生の頃の御手洗潔が、世界一周の放浪の旅を終えた後、各地での思い出を振り返りながら語る。叙情的な語り口と豊かな風景描写が素晴らしく、旅情に溢れる作品とも言える。特に表題作は、歴史に翻弄された街・カシュガルで生きた老人の悲哀が感動を誘う。 一方で、島田荘司作品にしては本格ミステリ的な要素は薄めであり、好みの分かれるところであろう。(その中で、『Mystery Seller』にも収録されていた「戻り橋と悲願花」はちょっと異色ではある。)