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小林泰三 『完全・犯罪』

完全・犯罪 (創元推理文庫)
4編収録の短編集。
『密室・殺人』や『モザイク事件帳』に続く小林泰三のミステリもの……と思わせて、そんなに推理小説臭の強い作品でもない。いつも通りのSF設定やホラー要素を含みながら展開する娯楽小説である。
まぁ、これぐらい面白い短編が読めるなら、ミステリだのそれ以外だのの境界がどうたらこうたらと語るのが最早馬鹿らしくなってくるのが正直なところ。
タイムパラドックスものを読んだばかり*1ということもあり、表題作「完全・犯罪」が一番楽しかった。『世にも奇妙な物語』原作になった「ドッキリチューブ」も、気分が悪くなりながらもどこか痛快。

*1:法条遙『リライト』