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書は言を尽くさず、

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西尾維新 暁月あきら 『小説版めだかボックス 久々原滅私の腑抜けた君臨または啝ノ浦さなぎの足蹴による投票/朳理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト』

小説版めだかボックス(上)久々原滅私の腑抜けた君臨または啝ノ浦さなぎの足蹴による投票 (JUMP j BOOKS) 小説版 めだかボックス (下) 朳理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト (JUMP j BOOKS)
週刊少年ジャンプ連載中の漫画『めだかボックス』のスピンオフのような位置づけ。
黒神めだかが生徒会長になる以前の話で、時系列的には原作漫画の若干過去にあたる。
視点は4人の教師で、上下巻通して一つの物語ではあるが、それぞれの教師ごとに物語は分かれており、4編の短編集と見ることもできる。
文章運びはいつもの西尾維新と違和感なく、原作の雰囲気をそのまま小説形式に落とし込んだような形。
だが、物語としては全体的に小粒でインパクトに欠ける印象が残る。
原作ではまったく出てこない教師を視点人物とする試みは、原作と異なる個性を出すという点で面白いと思う。直接的なバトル描写がなく、表面上穏便な平和的政治的解決のような展開が多い点も、書き方によってはそこまで詰まらなくはならないはず。


では何が不味かったかというと、やはりこの絶対的主人公・めだかの存在だと思う。このキャラの前では大抵の登場人物が屈服させられる。まぁその展開も主人公だから仕方ないと感じるのだが、あまりの人間味の無さにより主人公への感情移入は難しい。そのため、相対する視点人物へ共感を持たせたり反発心を抱かせたりするような魅力が求められるが、本作は視点人物の4教師へのキャラ付けが薄味と感じる。
絶対的主人公を喰ってしまうような個性を持つ曲者は、やはり球磨川禊の登場を待つ形となるか……。