書は言を尽くさず、

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貴志祐介 『悪の教典』

悪の教典〈上〉 (文春文庫) 悪の教典〈下〉 (文春文庫)
とある高校を舞台としたサイコホラー。
主人公の蓮実聖司が善悪の区別なく取り得る手段すべてをもって問題・課題に対処していく様は、不快さや嫌悪感を通り越し好奇心と期待感を持って読み勧められる。終盤の殺戮劇については、ゲームというべきかパズルというべきか。久しぶりに「頁を捲る手が止まらない」という風な読書体験となった。唯一、結末についてヒントが多過ぎて読めてしまうのだけは残念。
蓮実についてダークヒーローという表現は似合わないが、ただのサイコパスという表現にも収まらない。主な視点人物として心理描写を重ねることで、人物像を掘り下げた結果のように思う。