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初野晴 『空想オルガン』

空想オルガン (角川文庫)
ハルチカシリーズ第三短編集。
とある吹奏楽部の高校生たちを主役とした当シリーズ。単なる青春小説では終わらず、現実の苦さや遣る瀬無さを含む。その上で尚、爽やかなる落とし込みをする点が、初野晴作品の最たる特長であり、デビュー作から続く作家性というものだと思う。
収録作の中では、「ヴァナキュラー・モダニズム」(のトリック)がどこか懐かしい気分にさせてくれて、最も好み。
物語内で、着実に時が進んでいる点が感慨深い。