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西尾維新 『JOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN』

JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN
人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』を有名作家がノベライズ、という企画のうちの1冊。
ジョジョシリーズの敵役として圧倒的な存在感を見せるDIO。彼が遺した1冊の「ノート」を、手記形式で綴る。
シリーズに点在するDIOのエピソードを一つ一つ拾い上げ、DIOの独白を加える形。原作に忠実でありながら、あるエピソードに対して西尾維新なりの解釈を加えた上で結んでいる。
しかし、原作のエピソードを一部抜粋して述懐する描写がほとんどであり、西尾維新荒木飛呂彦も得意とする能力バトルの描写は全くなく、小説単体としての盛り上がりは大いに欠ける。原作ファンがふむふむと思い出しながら楽しむ以上の何かを見出すのが難しい、キャラクタ小説である。
西尾維新は本当にジョジョが好きなのはよく分かった。が、その好き度合を表現しようとしたことと、原作冒涜を行わないようにしたことが重なった結果として、中途半端な仕上がりになってしまった感がある。