2011-11-15 小林泰三 『天獄と地国』 book 『海を見る人』収録の短編を長編化したハードSF。 誤植ではないタイトル。地面が上にあり、天空が下にある世界。 SFものについては、それこそ小林泰三作品以外は好んで読まないので、ジャンル内の位置づけは検討もつかない。が、少なくとも凝った設定だけが牽引する作品ではない。 崩壊し続ける世界でもがき生きる人々の姿、終盤僅かだが議論となる論理と感情の択一、結末の風景の意味深さなど、ドラマチックな描写の印象が強く残る。 まだまだ広がりのある作品世界。直接のものでなくても良いので続編は読みたい。