書は言を尽くさず、

本読んだりしています

初野晴 『初恋ソムリエ』

初恋ソムリエ (角川文庫)
ハルチカシリーズ第2弾となる短編集。
おてんば娘と美男子が活躍する、一見すると爽やかで瑞々しい雰囲気が魅力の学園小説だが、真相に潜む苦々しさ、遣る瀬無さが大きな特徴。デビュー作『水の時計』から連なる一貫性を感じさせるシリーズである。
1編選ぶとすれば表題作。「初恋ソムリエ」なるアイデア一つ取っても秀逸だが、そこからの展開は最早想定の埒外。題名の牽引力を『退出ゲーム』に続き感じる作品。