書は言を尽くさず、

本読んだりしています

辻村深月 『凍りのくじら』

凍りのくじら (講談社文庫)
本作では章ごとに漫画「ドラえもん」の秘密道具の名前が割り振られており、登場人物の会話にもドラえもんの話題が頻出する。無論ストーリー進行、人物描写の潤滑油のような活用法であり下手な引用ではない。オマージュの一種として珍しい形態ではないと思う。
現実世界に溶け込むようなつもりで、実は大きく欠落している女子高生が視点人物。登場人物の閉塞感を描写した作品としては極め付き。顔をしかめながら読むことが苦でなければ手に取るべし。