貫井徳郎作品の特長として感じられるのは、リーダビリティの高さである。
要因はいくつかある。
まずは、1.心理描写が豊富であり、その文章表現が平易であること。
かつ、2.心理描写と情景描写を結びつけることが巧妙であること。
そして、3.登場人物について、悪く言えばステレオタイプであり、良く言えば普遍的で感情移入しやすいこと。
本作はその特長を活かしきった作品である。
特に今回、3.の特長について自分は顕著に感じた。故あって罪を犯す3人の少年について、それぞれについて得体の知れない感性を覚えつつも、どこかで見たようなキャラクタ造形に感じられてしまう。
良くも悪くも言わないようにすると、この物語は「得体の知れないものたちが歩んだ顛末」として捉えるよりも、「現在までの少年犯罪者にまつわる一面」として捉えた方が妥当なような気はする。