書は言を尽くさず、

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吉田修一 『女たちは二度遊ぶ』

野生時代」にて「日本の11人の美しい女たち」というサブタイトルのもと連載されていた短編の集約版。
11編収録ということで1編1編の分量はあっさりしたものである。深く人物を掘り下げるというよりも、何気ないエピソードたちをヒントにして人物像の縁取りだけ行い、読者に委ねるような形。
現実感の表現については、吉田修一お得意。女と男をよくもまぁここまで「リアルに」「有り得そうな」雰囲気で描けるものだと思う。
タイトルからして「女」がテーマのように一見思えるが、その実「女」たちと向き合う「男」こそが、著者が真に語りたかった主題のように思えて仕方ない。それは自分が「男」だからかもしれないが。