書は言を尽くさず、

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初野晴 『退出ゲーム』

高校を舞台とする、文化祭・部活動などで発生する4つの「謎」を解きほぐす連作短編集。
ミステリとして短編ごとによくまとまっているが、特筆すべきは視点人物の女子高生や周囲の人物の瑞々しい感性の表現。優しく柔らかな理想のみに終始せず、現実的で生々しい要素も多分に含み、「リアル」に直面する人物の感情を丁寧に描く点は、著者の作品の特徴的な部分だと思う。
特に表題作は、ミステリ作家としても小説家としても巧さを感じさせる傑作。