書は言を尽くさず、

本読んだりしています

小林泰三 『天体の回転について』

8編収録のSF短編集。
しかし、この表紙はどうにかならんもんか。
同著者の『海を見る人』と同じく、ハードSFと銘打たれただけあって、非常に深く豊かなSF要素が取り入れられている。
著者なりのロボット三原則へのオマージュ「灰色の車輪」、科学小説に対する諧謔も含めた「あの日」、宇宙探索の可能性を感じさせる「銀の船」等、しつこいまでの舌戦によって揺らぎを生み出す「盗まれた昨日」など、バラエティも豊か。
ちょっとした世界の反転が仕掛けられている作品にやはり惹かれる。