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飛鳥部勝則 『堕天使拷問刑』

堕天使拷問刑 (ハヤカワ・ミステリワールド)
謎の美少女、絵画、美術館、バベルの塔、ホラーへの傾倒などなど、今までに著者が描いてきた様々な要素を総て叩き込んだ一作。
やりたい放題で、当然歪である。歪であるが、途轍もない魅力に溢れている。
唯一著者らしくない点を挙げれば、本人作の絵画による図像解釈は本作にない。しかし、逆に縛りから解放されたように感じられる。
結末では、明かされた作品構造から、一気に叙情性が高まる。充電期間は長かったが、その蓄えが必要であったことを納得できる傑作。