書は言を尽くさず、

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日日日 『ピーターパン・エンドロール』

大人になれない・大人になりたくないピーターパンたちの物語。
高校在学中にデビューした著者は、その若さを存分に活かした大胆かつ繊細な心理描写を売りとして、驚くほどの速筆で作品を発表している。
本作は新風舎文庫としては3作目。あとがきにて著者が「高校生の気持ちが書けない」と生みの苦しみを語っているが、その困惑は読み手としても容易に読み取れるほどである。特に現実的な落としどころに、著者の心境や現状を強く感じる。
決して悪い作品ではなく、むしろ心理描写の丁寧さは賞賛に値するのだが、著者の変化すらも同時に感じさせる複雑な作品である。