話せば、自分の行為が余計に馬鹿馬鹿しくなるだろう。人に語るために行ったのか、と思われたくない。人に思われたくないのではなく、自分に思われたくないのだ。
森博嗣式のハードボイルド風作品、という表現が妥当か。Vシリーズで頻繁に見られたアクション・サスペンスタッチと、森博嗣独特の気取った感性を前面に押し出した作品。主人公の心境描写と、主人公を取り巻く女性たちとの会話が読みどころである。
何気ない今のところ単発のノンシリーズではあるが、森博嗣の感性面でのエッセンスは全開であり、S＆M・V・G等と比べてかなりくだけて正直に、惜しげなく森節が披露されているように思う。
