書は言を尽くさず、

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桐生祐狩 『川を覆う闇』

川を覆う闇 (角川ホラー文庫)
とある町を舞台に繰り広げられるホラー長編。
序盤は淡々と大人しいながらも、所々で大小様々な違和感・嫌悪感を覚えさせる。中盤に至ると著者お得意の俯観的で壮大な語り口となり、読み手をひたすら振り回しながら終盤まで駆け上る。
と、ここまでは著者の十八番なのだが、本作はそれらに加えて汚物に関する描写が冴え渡っている。グロテスクという言葉が適当かどうかは分からないが、ひとまず言えるのはそうしたグロ系のおどろおどろしさの極地にある作品であるということ。食事しながらの読書はお勧めしません。